
Restart
第2章 新世界
兄貴の声が、呆れてる声に聞こえて…
せっかくここ数日はチカのお陰で少しずつ楽しく過ごせる様になってきたのに、また兄貴の声であたしって存在の意味を見失いそうになる。
「…別に、いいじゃん…あたし、なんて居なくたって、誰も、困んない、でしょ」
昌也『…ハァ……勝手にしろ』
プツリと切られた通話。
グッと胸が締め付けられて苦しくなる。
俯き掛けたあたしの頭にふわりと手を乗せたチカが、優しく引き寄せ抱き締めてくれた。
智翔「…大丈夫。俺が居るから」
背中を撫でる手が、子供をあやすみたいに優しい。
チカの背中に手を回して抱き付けば、チカは少し嬉しそうだった。
少しずつ…
あたしはチカの優しさに包まれ、どん底まで落ち込んでた気持ちを浮上させる事が出来てる。
何処までも優しいチカ。
あたしが叱られるのは、自分を蔑む時だけ。
『世界中、全員お前なんかいらねぇっつっても。俺にはお前が必要なんだ。俺だけじゃ、駄目か?』
そう言って、チカは寂し気に見つめてきたっけ。
チカと一緒に生活し始めてから、一ヶ月が経とうとしてる。
侑くんの迎えで倉庫に行く今日が、正に言われた『一ヶ月のお試し』の期限。
チカ本人は何にも言って来てはいないけど…
倉庫に集まった凄い数の人たち。
相変わらず大きな『お疲れ様ですっ!!』って声に、ビクッとするあたし。
翔「今日はあんま長い時間走れねぇ。…今週はサツが煩ぇらしいからな」
潤紀「だから今日はいつもの半分だけ回って帰って来んぞ?…ルートはそれぞれに連絡したから、確認しておく様に」
智翔「勝手な行動取ってチームに迷惑掛けんなよ。…殺すからな」
『はいっ!!!!』
何度か参加したけど、初めて警察って言葉を耳にして、不安になる。
それでもそんな事言える様な雰囲気じゃない気がして、口を開かずに居た。
「…チカ?」
智翔「ん?」
「…ごめん…トイレ、行ってもいい?」
智翔「あぁ(笑)…行ってこい、待ってっから」
「ごめんね?」
急いでトイレに向かった。
男の人ばかりのチームに、数人の女の人を見掛けてた。
女子トイレがあるのは、女性チームが存在するからだって、ジュンくんが教えてくれてた。
トイレに入って直ぐ。
数人の女性の声がして、トイレに入って来たと知る。
用を済ませ急いで戻ろうとしたけど。
出られなくなった。

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