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第10章 当たり前を守る為


翔母「チエちゃん、これ痛み止めね?後、今日はなるべく濡らさない様にお風呂入って?」

「…はい。…お風呂、いいんですか?」

翔母「んー…本当は6針も縫ってるから我慢してほしいけど、濡らさなきゃ大丈夫よ?」

隣のチカから、物凄く怖いオーラを感じる。

翔「とりあえず、男は警察だ。チカ、ムカつくだろうけど、仕方ねぇ」

智翔「…ハァ……悪かったな?ショウ。助かった」

翔「いやぁ…久々に動いた所為か思いの外手こずったわ(笑)やべぇくらい鈍ってる(笑)」

ショウの言い方に、少しだけ笑ったチカ。
『ありがとうショウ』ってあたしもちょっと頭を下げる。
照れ臭そうに笑って帰っていった。


智翔「チエ」

「…ごめん、チカ」

帰ってきて直ぐ抱き締められた。
怒ってる訳じゃないとは思うけど…
ちょっと怖い顔のチカに、泣きそう。

包帯を巻かれた右腕。

そっと触れるチカが『痛ぇか?』って優しい声になる。

「んーん…平気」

智翔「マジで…ムカつく…」

「…チカ」

智翔「悪い。ちょっと待て。…今落ち着かせる」

抱き締めたままジッと動かないチカに、あたしも抱き付いた。
今更ながら、怖くなってきて。
凶器みたいな物は何も持ってなかったけど、店の中にはいくらでもそれになり得る物はあったって思うと、本当に怖い。

これだけの怪我で済んだのが、寧ろ不思議な気もしてくる。

智翔「…怖かったな?…もう大丈夫だから」

「…ん…あたし、ユカちゃん、守んなきゃ、って…必死、だった…」

智翔「うん」

「これで、済んで、良かったん、だよね…きっと…」

智翔「…だな。……大丈夫。もう怖くねぇから」

震え出したあたしの背中を擦ってくれる。
優しい手と声に、涙が零れた。

智翔「大丈夫か?」

「…うん。思い出したら、怖くなっちゃって…ごめんね?」

頭を撫でて額にキスをしてくれる。

夕飯はデリバリーにしてくれた。
右手を怪我した所為で箸も持ちずらい。

頑張って食べてたけど、結局チカが手伝ってくれた。

「フフ♪」

智翔「ん?」

「んーん(笑)」

智翔「何だよ(笑)」

「…怒るもん、チカ」

智翔「……怒んねぇから、言ってみな」

「怪我して良かったって…」

智翔「…」

「ほら…怒るじゃん…」

食べさせてもらえるなんてないから、ちょっと嬉しかっただけなのに…

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