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第10章 当たり前を守る為


たくさんじゃなかったけど、二人の友達に囲まれて幸せそう。

智翔「飲み過ぎんなよ(笑)?」

「フフ(笑)…うん♪」

部屋に帰ったら二人でゆっくり飲めるからって、チカが笑う。

何を着ようか悩んだ結果、大人しめのドレスにしたんだけど…
昨夜、お姉ちゃんに『チエちゃんに着てもらいたい』って渡されたドレスを着た。
肩を出したそれは、着てみてから凄く迷った。
だけどせっかくお姉ちゃんが用意してくれたし…
ストールを肩に掛けてくれたのは、チカ。

会場でずっとあたしの腰に手を回して傍に居てくれてる。

周りの大半が外国人で、皆大きな人ばかりだからだと思う。

一番驚いたのはお父さんで。

挨拶されてたお父さんが普通に英語で返してた事に、心底驚いた。
そう言えば…

「ねぇっ…チカ、昨日英語話してなかった?」

あの時は怖くて困惑してたから、気にしてなかった。
チカは『あんなの単語並べただけだ』って言う。

知らなかった。

確かに今までそんな場面がなかったんだけど…
でもたぶん、昨日の事を必死で思い出せば、そんなちょっとやそっとの話し方じゃなかった気がする。

智翔「…何をニヤニヤしてんだ(笑)」

照れ臭そうに笑って頭を小突いたチカ。
『へへへ♪』って笑うあたし。

お酒を飲んで料理を食べて。
美味しいって呟けば口を開けるチカに食べさせた。
何だろう…
ここが日本じゃない所為かな…
恥ずかしさがあんまりなかった。

お父さんたち二人でお姉ちゃんの席に行って、写真を撮ったり…話をして笑ってた。
親子の空気。
チカがトイレに立って出ていくと一人になる。
楽しそうに笑うお母さんたちを眺めてた。

こんな優しくて温かい家族の中に入れてもらえて幸せ…

『お一人ですか?♪』

「…え?あ、いえ…あたしは…」

『良かったら、ご一緒にいかがです?』

「あたし、ここの親族で…」

『そう♪是非、貴女を知りたい♪』

智翔「……誰だ、てめぇ」

『え?あ、えっと…』

智翔「その汚ねぇ手、離せ」

そそくさと逃げて行った男の人。
チカが肩のストールを直して、お母さんたちの所に行くと直ぐに戻ってきた。

無言で手を引かれて、会場を連れ出される。

「…チ、カ?」

智翔「…」

「ねぇ…チカ?」

誰も居ない会場の裏側。
呼んでも返事をしてくれないから、怒ってるんだろうとは思う。

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