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第9章 平穏な日々を…


これまでを考えたら、チエの感情が爆発したって何の不思議もないんだ。

知恵「教えてよっ!!チカっ!!もう邪魔しないでっ!!贅沢なんて言ってないじゃんっ!!我が儘言ってないでしょっ!?…チカ…ねぇ…チ、カァ…もう…放って、おいて、よぉ…お願い、だか、ら…」

ただ強く抱き締めた。

物凄い勢いで叫び続けたチエ。
最後には声が枯れて掠れてた。
強く抱き締める腕の中、『…チ、カァ…』って声に、背中を撫でる。

「ここに居る。ずっとチエの傍に」

知恵「…チカ…」

「あぁ」

知恵「チ、カ…」

「居るよ」

ただただ俺を呼ぶチエに、ただただ返事する。
端から見ればおかしな光景だ。

それでも、チエが落ち着くなら。

そう思う。
チエの背中を擦り、長い間繰り返してた。
やっぱり涙はなく。
僅かに、じんわり瞳が濡れる程度。

それから静かな部屋の中。

知恵「…チカ」

「ん?」

知恵「ごめんね?」

「いいよ」

知恵「…フゥ……行かなきゃ」

「…何処に」

知恵「…警察」

「大丈夫か?」

知恵「うん、大丈夫。…もう、これで最後。片付いたら、もう、これで終わり。ずっとチカと生きてくから」

チエの瞳が、強く光る。
頬に手を添え『愛してる。俺もチエだけだ』って囁いた。
柔らかく微笑んだチエ。

知恵「いつもいつもごめんね?…もう大丈夫。…負けないから」

「そうか。泣いても笑っても、怒っても。愛してるから」


警察へ行き、母親と確認した。
遺体を火葬場へ直で運んでもらい。
骨になったお袋さんと寺に行き、納骨する。
迷いなく、永代供養したチエ。
どんなんでも、母親ではある。
だけど、もう本当に最後にしたいと言うチエの思いが、痛い程に伝わった。

それでも、僅かでも母親への感情が残ってたのか。

見晴らしのいい場所だった。

知恵「…バイバイ。母さん」

もうたぶん、チエは二度と来ないと、漠然と思った。


帰ってきてから、夕飯を済ませた後。
チエは珍しく『…エッチしよ』って、誘う。

真っ直ぐ見つめて真意を探る。

知恵「…嫌?」

「嫌な訳ねぇだろ」

知恵「…チカ?」

「…愛し合うならいいよ」

知恵「それ以外、何があんの?」

「…なぁチエ。……俺は、どんなチエでも愛してるっつったよな?」

頷くチエを抱き締めた。
笑う事はあっても、泣かないチエがいる。

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