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第9章 平穏な日々を…


増山「……何が分かんのよ…」

「…」

増山「…あなたに何が分かるのっ!あたしだって好きで母親になったんじゃないのよっ!それでもあそこまで育ててやったんじゃないっ!育ててもらった母親助けるくらいしたっていいじゃないっ!」

とんでもねぇ女だった。

「…帰れ」

増山「は?」

「帰れ。てめぇに、チエを会わせる訳にいかねぇよ…今、やっと心底幸せだって笑って過ごせる様になったんだ。…壊されてたまるか」

増山「お願いよっ!もう来ないからっ!少しでもいいっ!お願いっ!」

「……助ける価値ねぇよ。チエはもう、親は居ねぇっつってる。諦めな」

泣き縋るお袋さん…いや、女を引き摺り出した。
応接室を出て『すいません、仕事に戻ります』って事務所を出た。

外に放置して、俺は仕事に戻った。

本当にチエはあいつの子供なんだろうか…
そう思ってしまうくらい、チエの心は綺麗。

数日後、仕事中にチエから電話が来た。

「どしたっ?」

知恵「ごめんチカ、仕事中に…」

「いやいい。どした?」

知恵「………母さん……死んだって…」

『直ぐ行く。…待ってろ?』って言った俺の声に『…ん』とだけ返した。

急いでオヤジさんに事情を話し帰った。

部屋に駆け込むと、ソファに座るチエ。
ボーッとしてて無表情。

「…チエ」

隣に座って抱き締めた。

「大丈夫か?」

知恵「ごめんね?仕事…」

「いいよ大丈夫」

知恵「チカ?……あたし、おかしいのかな?」

「…何で?」

知恵「あたしね?…全然、涙出ないの…母親、なのに」

顔を見れば涙は一粒も出てなくて。
ただ…
表情も、なかった。

「チエ。…俺の事、好きか?」

知恵「うん。愛してるよ?」

「なら大丈夫。それだけでいい。…俺の事だけ想ってればいいから」

知恵「チカ…もう…あたし、疲れちゃった」

「…」

知恵「もう…振り回されるの、疲れたの」

「チエ?」

知恵「……どうして……いつもいつも…あたし、ばっかり…ねぇ、チカ…教えて、よ…何で?何であたしばっかりなのっ?ねぇっ!!」

「チエ」

知恵「何で皆あたしの邪魔ばっかするのっ!?ただ幸せになりたいだけなのにっ!!笑ってたいだけなのっ!!ねぇっ!!駄目なのっ!?幸せになっちゃ駄目なのっ!?ねぇチカっ!!」

初めてだった。
今まで、泣きじゃくる事はあった。

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