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第2章 新世界


必死で零れない様にしてた。

智翔「チエ♪…人って、泣く事も時には必要なんだってよ?」

体を離したチカが、やっぱり優しく微笑んでる。

泣きたくないから、何度も首を振った。

智翔「フフ(笑)…頑張り過ぎたんだな?…泣きたくなくなるくらい」

再び抱き締めたチカは、ゆっくり優しく背中を擦って来る。

堪えてた瞬きを、一度だけした瞬間…
一粒、涙が頰を伝った。

「…あ、たし……家、でも…学校、でも…誰も、見向きも、しない、から…存在、して、ないんだ、って…」

智翔「…ん」

「…ずっと…小さい頃、は、親も、笑って、くれて、た……中学、入る…少し前、から、あたしが…話し掛け、ても…返事、してくれ、なくなった…」

『…うん』とだけ言いながら、ずっと背中を擦る手を止めないチカ。

中学に入る少し前だったと記憶してる。
兄貴の成績が、あたしとは比べ物にならないレベルになってた。
あたしの成績が良くないからだって思って、必死で勉強して私立の有名中学に入った。
それでも、親の態度は変わらなくて。
でもまだその頃、『おはよう』『お休み』『行ってきます』『ただいま』の最低限の挨拶に、返事だけはしてくれてた。

どんどん家の中であたしだけが一人ぼっちな気がして。

何とかそれでも頑張って私立の有名進学校に入った。
ちゃんと真面目に制服も校則通り着てた。
親が呼び出される様な事も、絶対しない様にって。
だけど…
高校に入ったら、それを陰で嗤われた。
密かに"真面目ちゃん"って呼ばれてる事を知ったのは、一年の終わり頃。
ずっと、泣きたくなかった。
泣いたら負けるって思ったから。

「そのうち…陰で嗤われてたのが…目の前でも…そうなった……何処に、居ても…あたしって、一人なんだなぁって、思ったら…馬鹿らしく、なったの」

智翔「うん」

「…だってさ……家に居ても、嗤われるの…生きてて、楽しくなんか、ない、でしょ?」

智翔「…」

「…だから……もう…死んでも、いいや、って…」

智翔「もう一人じゃねぇ。チエを一人になんかしねぇから。大丈夫。俺が居てやるから」

「…フゥ……ック…でも…あたし、なんか…」

智翔「でもじゃねぇ。"なんか"って言うな。…チエは優しい。俺の事、ちゃんとチカだって見てくれてんだろ」

キュッと、抱き締めた腕に力を込めたチカ。
涙が止まらなくなった。

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