
Restart
第2章 新世界
『…本当に…あたしと、付き合う、の?』って、遠慮がちに聞いてみた。
智翔「…俺さ。さっきショウも言ってたけど…女なんてヤれりゃいいって、マジで思ってたんだよ」
そう言うチカは、何処ともなく視線を向けてる。
その横顔が、何故かは分かんないけど、少し寂しそうに見えた。
智翔「俺は、"Beast"ってチームやってる」
「…チー、ム」
智翔「…まぁ、世間で言う暴走族(笑)」
「……そ、なん、だ」
智翔「ん。…俺に寄って来る女なんて、俺を見てなんかねぇ。チームの天辺に居る"チカ"を見てる。その"天辺の女"って肩書きがほしいだけなんだよ(笑)」
そう笑った。
横顔が、泣いてる気がする。
気付けば…
チカの頰に、手を添えてた。
ゆっくり、顔を向けてくるチカ。
智翔「フフ♪…やっぱ、俺の目は間違ってなかった(笑)……チエは、俺をちゃんと見てくれる気がした」
視線が合うと、優し気に笑う。
あたしの添えた手に、チカの手が重なった。
智翔「…だから。…チエに、傍に…隣に居てほしいんだ」
優し気に微笑んでるのに…
チカのその瞳が、あたしには泣きそうなそれに見えて。
チカの顔が…
ゆっくり、ゆっくり…
近付いて…
数ミリの距離で止まった、チカの唇。
『…キス、していい?』って囁いた吐息が、あたしの唇に掛かる。
声も出せないまま…
あたしの唇は、感じた事のない温もりに触れた。
直ぐに離れた唇は、やっぱり数ミリの距離を保つ。
智翔「ごめんな?…出会って直ぐ、キスなんて…だけど…俺マジでちゃんと大切にするから」
「……でも…」
やっと、出た声は、震えてた。
離れる気はないらしいチカ。
あたしは、誰にも話した事のない話を、今ここでするべきか悩む。
智翔「"でも"、何?」
「…あ、たし……も、生きる、の…疲れ、た……頑張った、の…ずっと……でも…もう…疲れ、ちゃった、の…」
言い切った瞬間、再び温もりに触れるあたしの唇。
さっきより長いそれに、胸は物凄くドキドキしてるのに、奥の奥の方がふわっと温かい気がする。
智翔「…もういい。頑張んなくて、いいよ」
「…」
智翔「俺の隣で、一緒に生きてみなよ」
そっと、抱き締めて…
『…絶対、笑わせてやっから♪』って。
その温もりと、声に…
あたしの視界が少しずつ、滲んで…歪んでいく。

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