テキストサイズ

Restart

第6章 約束の日


途中だったお弁当を作り上げた。
寝坊しちゃったお詫びに…って思ったからいつもよりちょっとだけ豪勢にしてみたら、遅くなっちゃって。

「もうこんな時間っ…急がなきゃ…」

着替えて軽めのメイクをして。
さっと髪を整え部屋を出た。

チカの整備工場までは結構遠い。

バイクで通ってるチカ。
歩いてなんて行ける訳ないから、タクシーを拾って、名刺の住所を伝えたら整備工場って直ぐに分かってくれた。

運転手「お姉さん、まさかそこで働いてる訳じゃないよね?」

「あ、違います違います!…旦那さんの忘れ物を届けに…」

運転手「そう♪…あ、もしかして!…前に入った兄ちゃんか(笑)」

運転しながら話してた運転手さんが、どうやらチカを知ってる様な話し方だった。
『知ってるんですか?』って聞いたら、『あぁ♪』って楽しそう。

運転手「社長が何だか可愛くて憎めない奴だって笑ってたよ(笑)」

他所の人からチカの話を聞くのは初めてで。
それも褒められてる話なら、嬉しくなる。

工場に着いて、『ありがとうございました』ってお金を払ったら笑顔を返してくれた運転手さん。

整備工場の敷地に入って、電話を掛けた。

智翔『……はい』

「チカ?…ごめんね?仕事中に」

智翔「チエ!?どうした!?何かあったのか!?」

「違うの!ごめん!そんな心配しないでっ?」

智翔『焦った…どうした?』

「あのね?お弁当…持ってきた、の…」

智翔「は!?…何処に!?」

「工場に…ごめんなさい」

切られた電話。
数秒後、中の奥の方から走ってくる人影。

智翔「…ハァ…お前は…」

「…ごめん、なさい」

智翔「…ハァ…ったく…焦ったぁ…」

「ごめん、ね?…どうしても、お弁当、届けたくて…」

ギュッと抱き締められた。
油の匂いのするチカ。
直ぐに離れて『悪い、汚れるな?』って呟いた。

「…チカ、お弁当。ごめんね?仕事中に…もう行くね?」

智翔「ありがと」

「邪魔しちゃって、ごめん」

頭を撫でてくれたチカ。
何かちょっと来ない方が良かったんだろうなぁって思った。
チカがあんまり喜んでくれてる感じじゃないから…

だから早く仕事に戻れる様に帰ろうとしたんだけど…

建物の陰に気配を感じる。

チカも気付いたみたいで、『俺の奥さん♪』ってあたしの肩を抱き寄せた。
二人の男の人が陰から出てくる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ