
硝子の指輪
第3章 劣情と苛立ち
「橋田ちゃんが何言っても俺はしたい」
「ひゃ……んっ」
顔を埋められ、首筋をペロリと舐められる。擽ったい。
「先輩っ……あっ…んぅ」
「先輩じゃなくて絢都」
「あ、っ絢都さん…擽ったいです…」
「とか言ってさ…誘ってきてるよな、その顔」
自分の顔が今どんなのかは予想できる。大好きな人に襲われそうになってきっと心は嬉しがっている。言葉なんて反対なものばかりだ。
「だって、先輩…絢都さんの事、ずっと想ってたから…」
「はあ〜……殺しに来てる」
ため息のあとのぼそぼそっと言ったその言葉は、私には聞こえなかった。
「もう手加減しない」
手が拘束されて、獲物は捉えたような鋭い目付きに変わった。その目付きが怖いように見えて、隅々まで見られているかのような気持ちにもなる。
「……早く食べてください」
