テキストサイズ

好き心少なからず

第13章 人が好いヒト~田口×姉ヶ崎~

姉ヶ崎さんに初めて会った日も、前日に雨が降って学校に自転車を置いて帰ったからだもんな。

そうじゃなかったら、知り合うこともなかったのかも。

「…だからいなかったんだ」

うつむいて、ぼそりと呟かれた言葉がうまく聞き取れなくて

「ん?」

姉ヶ崎さんを見ると、小さく息を飲み、慌てて首を振った。

「ううん!!何でもない!!」

「うん…?」

姉ヶ崎さんの慌てぶりが気になる。

でも…あまり触れてほしくない話なのかな?

二人、黙ったまま並んで立っている。

周りの空気はしんとしていて…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ