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好き心少なからず

第13章 人が好いヒト~田口×姉ヶ崎~

「あ…ありがとう…」

お礼を言ってはくれるものの…

その表情がやけに気にかかる。

泣き笑いのような、困ったように笑う顔。

あぁ、またやり過ぎたか?

親切の押し売り。

これじゃあ、僕も『アブナイ人』みたいじゃないか?

二人で並んでバス停に立っているけど、顔を見合わせる事もなく前を向いていると

「…田口君は自転車通学にしたの?」

姉ヶ崎さんが前を向いたまま聞いてきた。

「あ…元々、自転車で通ってるんだ」

「え。そうなの?」

「雨降ったりしたらバス乗ることもあるけど」

「あ…そっか」

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