テキストサイズ

TIME is MONEY

第5章 scene Ⅴ


新たにドリップの粉を入れ換えて、コーヒーメーカーをセットしてから

「そういや、翔が夕飯買ってきた」

雅紀の方を見ずにそう言うと

「…翔ちゃん、最近しょっちゅう来てない?」

なんて言う雅紀に思わずドキッとしてしまった

だって雅紀には、翔が来てる事は内緒にしてある

翔も、雅紀には内緒だって言ってたはず…


「なんで……?」
冷静さを必死に保ちながら、だけど顔は見ないまま聞き返せば


「え、当たり?」
「え?」

「言ってみただけなんだけど
……来てるんだ、やっぱり」


ちくしょう、油断した

まさか雅紀にカマ掛けられるとは

「…今日は来たけど、しょっちゅうじゃねぇよ」

信じるかは置いといて、ごまかしてみたけど

「嘘つけ、…今週は今日で3日目だろ」

「は?」

当てちゃったよ、こいつ…

まさか翔のやつ、言っちゃってるとか?


「翔ちゃん来た日は部屋の匂いが違うから」
「匂い?」

「何だろう、なんか違うんだよね」

犬かお前は…
何だよ匂いが違うって


「で、何で翔ちゃん来てんの?」

困ったな
これじゃ “来てない“ って言えねぇじゃんか

ストーリーメニュー

TOPTOPへ