
その男、溺愛注意報。
第3章 彼女
「ゃ……、そんな冗談やめて」
俺の胸に手を置き
グッと押し返す那美。
開いた距離。
「からかわないで下さい。
こうやっていろんな女の子を落としてきたんだろうけど
わたしは…、」
「ーーーわかった。」
那美の言葉を遮る。
髪の色と同じ、
那美の黒い瞳を
射抜くように見つめた。
今の俺じゃ
那美に冗談だと
思わせてしまうのは当然で。
俺は学校内でも
女の子にだらしないって有名だから。
そしてそれは
否定できない事実で。
そのことは那美の耳にも
当然入っているだろうから…
ちゃんと、ケジメをつけよう。
そうしてまた那美に
想いを伝えよう。
