
その男、溺愛注意報。
第3章 彼女
「そんな男やめて、俺にすればいいのに。」
最低な俺の口から
零れた言葉は
那美からしてみれば
馬鹿みたいなことだった。
けれど
咄嗟に出た言葉は
紛れもない本心。
零れた言葉に
自覚した想い。
いつの間にか
那美に惹かれていた自分。
那美の体に回した腕に
さらに力を込めた。
細くて…細すぎて
力を込めたらすぐにでも
壊れてしまいそうなほど。
脆すぎる那美の体を
力強く、
けれど
壊さないように
ふわりと抱きしめる。
「那美……」
「……っ、」
耳元で名前を呼ぶと
ピクリと身を縮めた。
