
その男、溺愛注意報。
第3章 彼女
「っ、どういたしまして。」
平然を装って
ニコッリ微笑んだ。
「あ。てか、誕生日なら彼氏と過ごさないの?」
話題を変えるために
彼氏のことを持ちかけた。
すると、一気に那美の
表情が曇った。
「…用事、出来たみたいで帰ったの。」
「そっか。」
那美の表情を見て、
触れちゃいけなかったのかも
と思い、なんだか申し訳ない。
「でも、いいの。さっき会ってこれ……プレゼント、くれたし。」
「ふ〜ん。」
なぜか今日は
那美がよく喋る。
俺相手なのに。
那美は俯いているから
今どんな顔してるのか
わからない。
ただ……
「強がるわりに、泣きそうだね。」
声が、
震えているのは分かった。
