
学園アリス
第6章 誕生日
「その顔、見せんな」
不意に目を手で隠され、視界が真っ暗になった。
「っ!?」
同時に感じた唇の熱。
ふわりと、優しく触れるだけのそれを残して離れる。
突然のキスに、言い合いをしていた時の勢いをすっかりなくしてしまった。
そっと目から手が外されると、棗と目が合った。
「俺の前でだけ、笑ってろ」
「……っ」
「可愛すぎて他の奴に見せたくねぇ」
続けて口にする棗に、何も発せない。
「こんくらい察しろよ、ばぁーか」
そう言ってスッとうちから離れた棗。
顔を真っ赤にさせたうちをひとり残して、棗は去って行った。
