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もしも願い 一つだけ叶うなら

第2章 進展

大野side

とりあえずツアー第一段の関西方面は今日まで。
本日最終日は京都。一週間後に東北と北海道。

京都は昔のことを思い出す。
あれがあったから今があるのとは思ってるけど…

良い思い出になるにはまだまだ先かな…。
会社から声をかけられて行くと決めたけど、親元離れて一人でやってくには若い過ぎた。何もできないのによく行ったよな。
俺が持ってる武器なんて「やる気」だけだったな。

舞台の仕事はそれなりに力もついたけど、人間関係は最悪だった。
体育会系のノリでしごきと言う暴力があるし、男ばかり集まれば秩序なないし…

その割には実力主義だから先輩より役がよいといじめの対象だし。
俺の性格から仲間と連んでどうこうしないから、殴られたり、無視されたり。よく頑張ったと思うよ。
京都で良かったのは神社仏閣だけだったな…。

楽屋でメイクしながら昔に耽っていた。

翔「京都は懐かしい?」
隣でメイクしていた翔くんが聞いてきた。

智「懐かしいのかな?」

翔「なんで疑問系?(笑)主役で出てたんでしょ?東京では智くんは伝説だったよ」

主役って言ってもレギュラー公演だけね、有名じゃない俺らの公演は座席は埋まらないからしんどかった。先輩や売れてる人がメインの時だけ席が埋まるような状態だったな。

智「埋まらない公演の主役だからたいしたことないよ」

翔「それでも主役になるのは大変だよ」
翔くんは俺を過大評価し過ぎだな。

翔「京都に友達いないの?」

智「いない」
あの時、関西ジュニアがまだなかったし、その時のメンバーはほとんど辞めてる。デビューできないとやめてくよな…。

寂しいとは思わないけど暗い十代だな。

智「もう劇場はないし、ほとんどのメンバーが辞めてるから…」
あの時を知ってる人なんてもうほとんどいない。
メイクも終わり、出番まで休んでいたら、彼女から電話がかかってきた。
出ると…

彼女『今、大丈夫?』

智『うん、大丈夫…ちょい待って』
みんなに聞かれたくないから、楽屋を出た。

智『どうしたの?』

彼女『明日休みになったから来ないかな〜と思って…』
素直に会いたい言ってくれる彼女はかわいいと思う。
ここ数日ずっとニノと居たからな…

智『明日、東京帰るよ、そのまま行こうか?』
彼女と会う約束をして楽屋に戻るとニノが寂しそな顔で俺を見てた。

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