
黒川とぱんぱかぱん!
第2章 黒川虹花は救世主
「永野くんいいの?全部私がもらって」
黒川は鞄と売れ残ったパンが入った袋を手に
俺と夜道を歩いていた
「まだ家に余ってるから大丈夫
つか、うまいといえどよく飽きねぇな」
「うちは兄弟多いから飽きるとか言う前に
お腹すかせてるから食べ物の取り合いみたいになるからね
で、それより話ってなに?」
「あ、そうだった…」
一度そう宣言しておくと
黒川から聞いてくれるからありがたい
「その、お礼したくて」
「お礼?」
「パンもらったり、昨日のフランスパンだったり…
今日も勉強教えてくれたり
ありがとうって言葉じゃなくて行動でお礼したくて」
そう言うと黒川はきょとんとしたかと思えば
盛大に笑った
「別にそんなこと気にしなくていいのに」
「俺は気にすんの。
俺のためだと思って。
1日バイト変わるとか、なんか奢れとか
なんでもやる」
「なんでも…」
黒川は顎に手を当ててなにか考え込んだ
いまどき
そんなん名探偵コナ○くらいしかせんど
その格好…
そう思ってたら
パッと楽しそうな顔にかわった
本当、顔がコロコロ変わるな。こいつ
「じゃあ休みの日私に頂戴!」
「バイト変わればいいのか?」
「ううん」
