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方位磁石の指す方向。

第5章 scene 5

櫻井side



…まだ雨降ってやがる。

五時限目が終わったとき、
止んだと思えば、
部活が始まった途端に
降ってやがった。


明日は試合だから
今日は軽めらしい。

怪我してもいけないし…
無理してもいけないから、だと。


「…翔さん、一緒に
水飲み行きません?」

「おう、」


汗を拭いて、
潤のあとを追う。

…はあ。


「…翔さん、和になんか
隠し事してます…?」

「…いや、特には。」

「じゃあなんで…
和は試合の日程知らなかったんですか?
明日って言ってなかったんですか?」

「それは──…」

「和、相当傷付いてますよ。
ちゃんと言ってやってあげてください。」


汗を拭いてふうっと溜め息をつく
潤を見つめたまま
俺はそこから動き出せなかった。




…さすがにまだ言わなくても
いいかな、と思ってた。

今日の夜でもいいかな、って。


でもそれじゃ二宮は
ダメだったんだ。

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