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方位磁石の指す方向。

第5章 scene 5






「ほら、早く!」
「痛い痛い!」


翔さんの腕を引っ張って
校内を走り回る。


「…ふー、」


一通り回れば、
あとは翔さんに
身を委ねるだけ。


「…あー、疲れた。」

「ふふ、お腹いっぱい。」

「そりゃあんだけ食えばな。」

「ふふ、


あ、そういえば──…」

「…和也、」

「ん?……あっ、」


翔さんの方を向こうとしたら
抱き締められた。



「な、なに。」

「…和也、」

「く、擽ったい…」


ちゅっと首筋にキスされて
舌が這う。


「くっ、すぐったい…」

「それだけ?」

「ん、うん、」

「…そっか。」



そしたら今度は、
ネクタイを外された。


「ひゃっ、なに!?」

「…好きだよ。」


翔さんが俺にキスしてきた。

と同時に、シャツのボタンを
器用に外した。


「んっ!…んんっ、」


…なにこれ。

ちょっと官能的なキスだ

…よくわかんない。
頭がぽーっとする。


うっすら目を開ければ、
翔さんの赤い舌が
チラチラと見えた。


「んっ、ふ、」



ちょっと期待してた。

…これから、
始まることに。


そういうことにも、
興味はあったけど、


まだ早いかな、って。


だって、
キスとか手を繋ぐだけでも
恥ずかしい。


…恥ずかしい。


「…ん、や、」



…嫌では、ないけど。


今もなお、絡む指と舌のせいで
ワケがわからない。

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