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方位磁石の指す方向。

第15章 scene 14



「バイト…?」

「うん、そう。」

またなんで、そんなこと…

忙しいくせに、
自分で自分の首を
一層締めてるようなもんじゃん。

「…あんまり無理にしないでよね。」

「生きてくには多少の無理は必要だぜ?」

「そうだけど…屁理屈言わないでよ。」

「高三のガキに
説教されたくないんだけど笑」

いつも通りの笑顔だ。

…うん。

好きなんだな、俺。


翔さんの肩にもたれかかれば、
腰に手を回してくれて。

ちょっと擽ったくて
思わず笑い声が零れた。

「可愛い…」

頭上から聞こえたその声。

敢えて何も反応はしない。

…つもりだったんだけど。


ひさしぶりの翔さんの体温とか、
息遣いとか、声とか。

全部にときめいちゃって、
気持ちの抑えが効かなくて。


「…ごめ、」

「え?二宮?」


翔さんの優しさに、甘えて。


「ぎゅってして、」


自ら翔さんに抱きついて、
翔さんを求めた。

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