
方位磁石の指す方向。
第15章 scene 14
「あっぁ、ぁ、」
上擦った声が、狭い室内に響く。
何度も何度も、キスをされて、
体中に痕をつけられる。
「ここも、綺麗だよ。」
「やぁっ…」
ぐいっと太股を持ち上げられて、
キスをされた。
恥ずかしすぎるその体勢に、
堪えきれなくなって抵抗した。
「やだっ、はずかしっ…」
「大丈夫、綺麗だから。」
俺の気持ちなんて無視なんだ。
…あぁでも、お互い余裕ないんだ。
余裕のない翔さんは、
いつもに増してカッコいいんだから。
「んぁ、あっ、」
「にのみ、」
「かずな、りっ…だから、」
俺と目が合った翔さんは、
ふっ、と笑ってから
頭を優しく撫でて。
“和也”と耳元で囁いてくれた。
ぞくぞくと背中に期待が走る。
「あ、あ、」
純粋なこの気持ちが。
不純なこの行為が。
ぐちゃぐちゃに混ざって、
感情的になってしまいそうだ。
