
方位磁石の指す方向。
第8章 scene 7
「ふぁあ〜…」
「欠伸しすぎ。
こっちまで眠くなるからやめろ。」
「だってぇ…眠いんだもん…」
ぶーっと唇を尖らせ、
俺を見る。
そんな雅紀の仕草と、
二宮の仕草を重ね合わせてしまって。
ズキン…
と胸が痛んだ。
「…?どーしたの?」
「…や、なんでもないよ。
ほら、早く1限目行こ。遅れる。」
「?うん」
…あぁ、やっぱり俺は最低だ。
好きな人のことを考える時間が減って、
他のことを考える時間が増える。
そりゃ、将来のことだって
大切かもしれない。
…だけど。
ちょっとくらい、
二宮との時間を増やしたって
いいんじゃないか?
そんなことを思うけど、
行動に移せない自分がいるから
ダメなんだろう。
…どうしたら。
どうしたら、
もっと短時間で二宮と近付けて、
それでいて寂しい思いをさせないように
することができるのだろうか…?
…んん、わからない。
俺がこんなに困ったのは、
雅紀と目玉焼きにかけるのは
醤油かソースか、はたまた塩かで
言い争ったときくらいだ。
(割と最近のこと。)
