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今日も明日も

第61章 見えない鎖 part Ⅳ



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「いい?俺が帰るまでは外に行っちゃダメだからね」

「はい」

成人した大人に言う台詞じゃないのは分かってるけど
かずくんはそれに何の不満もなく頷いている


こういう所為が幼いと感じる
まるで小さな子どもだ

だけどこう言わないとかずくんにはきちんと伝わらない

それこそ心配で心配で
仕事なんて身に入らなくなってしまう

いなくなってないだろうか
外に出てしまって、変な事に巻き込まれてないだろうか

そんな事ばかりが頭の中を支配してしまうから


だけどかずくんは、「はい」と答えた事は必ず守る

理解出来た事にしか、返事をしない
…これは、本当にありがたい誤算だった


それでもやっぱり何処か心配はあって

今にも消えてしまいそうな儚さがあるかずくんが倒れていないか
また熱を出して苦しんでいないか

…考えれば考える程、嫌な妄想が俺に纏わりつくんだ



そしてそれは本当に偶然だった

一緒にペアを組んでいる先輩が、異常な程にペットの犬を溺愛していると話していて

離れている時間が心配で堪らないから、遠隔操作出来るカメラを買った、と聞いたのは

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