
今日も明日も
第57章 見えない鎖 part Ⅰ
ならば、と抱き上げる俺に一瞬目を見開いたものの、おとなしく身を預けてくれた彼を風呂場に連れていく
服を脱ぐのも辛そうだからと手伝って
さっき少し捲って見た時よりも、脱いでから目にした傷に顔をしかめた
「気持ち悪い…ですよね」
俺の表情に気付いた彼が両腕で体を隠す
「違う…気持ち悪いんじゃないから」
「でも…」
「本当に違う。誤解しないで」
少しだけ強く言って、それ以上の彼の発しようとした言葉を遮った
だって本当に気持ち悪いなんて思ってない
明らかに転んで出来た傷ではないそれに
…彼を傷付けた誰かに
腹が立っただけなんだ
下は、恥ずかしがるから自分で脱いで貰い
持ち込んだ折り畳みの椅子に彼を座らせる
風呂場にある小さな椅子では辛そうだと思ったから用意したけど
それはどうやら正解らしい
「お湯、掛けるよ」
「はい…」
シャワーのお湯を直接当てないように、掌をクッションにして柔らかく彼の背中に掛けてやる
シャワーの勢いが緩和されてるからか、少し唇を噛み締めてはいるけど我慢は出来そうだった
