
今日も明日も
第40章 昨日の他人は今日の恋人
「おかえりなさい」
ペタペタと廊下を歩いて来て、にっこり笑って出迎えてくれるかず
玄関を開けると同時に
必ずリビングのドアを開けて歩いてくるのが
気づいたら日課になっていた
何でいつもばっちりのタイミングなんだろうと5日目で不思議に思って
ちょっとした悪戯を仕掛けてみた
だけど
アパートの外階段の音を、わざと立てないように上がってみても
“今日は残業だよ“ って嘘の電話を入れてこっそり定時に帰っても
はたまた逆に、遅く帰っても
「おかえりなさい、まーくん」
かずは必ず同じタイミングで出迎えてくれるんだ
「ただいま、かず」
悪戯を仕掛けるのは、すぐに止めた
だってやっぱり
誰かが出迎えてくれるって、嬉しいし
かずがいる事が日常になってきたら
そんな事、どうでも良くなった
「お腹空いたー」
「ご飯出来てるよ」
かずは約束通り、毎日ご飯を作ってくれている
これがまた、びっくりするくらい
美味しいんだ
