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今日も明日も

第30章 理由はいらない 3rd


狭い車内ながらも、何とか二宮さんの方に向き直った俺は


「お付き合い、してもらえますか?」


昔流行ったテレビ番組じゃないけど
頭を目一杯下げて、右手を差し出した


本当は二宮さんを見つめて言いたいけど
どこかまだ、信じられない自分がいて

“ごめんなさい“ なんて言われるのが恐かった


下を向いていても、二宮さんが動いたのが空気で分かる

俺はギュッと固く目を瞑った



「え、あの、…はい」

二宮さんは手を取る事なく、…だけど承諾の返事をくれた


あれ?

手、握ってくれないの?


のろのろと顔を上げて、二宮さんを見ると
不思議そうに首を傾げていて

「えーと…ハイ」

俺は差し出した手を、更に二宮さんの方に突き出すと

「はい?」

益々不思議そうに俺を見ていて


「…OKなんですよね?」
「はい」
「手、取って貰えますか」


「あ…、そう言う事ですか!」
ここで、ようやく二宮さんが俺の手を握ってくれた


…やっぱ、カッコ良く決まらなかったよ



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