
今日も明日も
第22章 のんりある 旅行編
誰かいたら、手を離せばいい
繋いだ手は、優しくて、暖かくて…
離したくないけど、理性がそれを食い止める
きっと相葉さんから言わせれば
堂々とすれば良いんだろうけど
…生憎、俺にはまだ
そこまでの開き直りはできてない
正面玄関までは
時間にしたら3分もないんだけど
誰か擦れ違うかも…と言うドキドキ感は
やたらと疲労感をもたらした
入口を目の前にして
…尚も手を離そうとしない相葉さんのそれを
振り払うようにして引き離す
「…冷たい」
いきなり離された相葉さんの、恨めしそうな呟きをシカトして
俺はさっさと大きなガラスの自動ドアに足を進めた
先に入ったのは俺だけど
手続きは全て相葉さん
予約も何も、引き受けてくれたから当たり前っちゃ当たり前なんだけど
本当に俺は「チケットを当てただけ」になってしまった
…おかしいなぁ
誘ったのは、俺からなんだけど
