
今日も明日も
第22章 のんりある 旅行編
「…すっげぇ…」
いかにも「高級です」と言わんばかりの佇まいに
相葉さんが、口をポカーンと開けている
いや、俺もそれと同じくらい驚いてるけど
表面に出ないだけで
「かず、こう言う処、慣れてるの?」
なんて言われてしまった
「んな訳ないだろ。薄給なのに」
呆れたように返したら
「だって…かずの事、まだそこまで知らないんだもん」
…拗ねた
面倒臭いヤツだな
ついでに言うと
本当、考えてる事が分かりやすい
「もー…ほら、行くよ」
相葉さんの腕を引っ張った
これ以上ほっとくと
変な方向に暴走しそうな気がする
「ねぇ、手くらい繋ごうよ」
相葉さんが呟いた
駐車場から旅館までの距離は
さほど遠くない
…ついでに人も、いない
「…いいよ」
そっと、右手を差し出した
顔が、赤くなってるのが
鏡を見なくても分かるくらい
熱かった
