リモーネ
第5章 ペチュニア
頭からシャワーを浴びたまま壁に両手をつききつく目を閉じて下を向く
「うぁ゛ぁーーーーはぁぁ…」
なんの心構えもなく思いだしてしまった過去のことで吐きそうな気持ちと、今ここにいる原因の異常性による奇妙な高揚感とで、体のなかをなにかが這いずり回っているような感覚に襲われて、思わず身体中を手のひらできつく撫でた
俺は、かえで先輩とどうなるんだらうな
体の感覚がおさまってから椅子に座り、シャンプーを手に広げてぼんやりと考える
よくわかんないけど、俺はかえで先輩といてとてもリラックスしているみたいだけど、もしかしてそのせいでさっきかえで先輩はなんか怒ったりしていたのかな。
…わからない
わしわしと頭を洗いながらきつく目をつむる
「なんでみんないなくなるんだろうな…」
やり場のない感情が風呂のなかに響いて消える
「…流そ」
手探りで蛇口を探して捻る
落ちてくる心地よい温度のお湯を、何をするでもなくただ座って目を閉じて浴びる
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