リモーネ
第4章 ツルバラ
さとおのおかげさまさまで照田先生の授業をなんとかやり過ごし、昼休みになった。
「さとおー」
「どしたの?せなさん。」
「いや、照田先生の授業、助けてもらったからなんかお礼しようと思って。」
さとおに感謝の意を示そうとしてこの提案をしたがイケメンスマイルでやんわりと首を振られた。
「そんなのいいよ。きにしなくて。それよりも、後ろのオトコマエさん。気にした方がいいんじゃないの?」
「ん?」
さとおがそんなことを言うので後ろを見ると、不機嫌そうなかえで先輩が立っていた。
「あ、いたんですね。」
「セナちゃん。この男だれ?」
「さとおです。中学の同級生です。」
なんでこの人こんなに不機嫌なんだろうなーと思いながらさとおを紹介する。
「初めまして。佐藤ロイです。
せなさんと仲良くさせてもらってます。」
さとおはそこまで言うと俺の前に出てきていたかえで先輩にスッと近寄ってなにかをいった。
しかし、その声は俺には聞こえず、後に残ったのは突然ご機嫌になったかえで先輩だけだった。
「かえで先輩、さとおと何かあったんですか?」
結局、さとおにやんわりとお礼をすることを断られてかえで先輩と二人で食堂で昼食をとっているのだが、かえで先輩はただただご機嫌にご飯を食べるだけでなにも言ってくれない。
よくわからない態度のかえで先輩にもやもやしつつ、食事を終え、授業を受けて部活の時間になる。
エナメルバックに荷物を積めているとかえで先輩が現れた。
「今日も早いですね。」
俺が当然のごとく話し掛けると、かえで先輩は、うん。とだけいって俺の前を通りすぎてさとおのところへ行ってしまった。
…?
なんだろうこの屈辱感。
なんで俺じゃなくてさとおなんだ?
さとおとすごく楽しそうにしゃべってる。
…かえで先輩なんて知らない。
俺はそのまま一人で部活に行き、道場の鍵を開け、道着に着替える。
一方のかえで先輩は、部活の開始ギリギリに道場に入ってきて、俺とは目も会わせてくれなかった。
そのまま部活が終わり、何時も俺を待っているかえで先輩は誰よりも早く部室を後にした。
かえで先輩が俺よりも優先する人…。
「…恋人でも…出来たのかな…。」
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