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リモーネ

第4章 ツルバラ



…俺、かえで先輩に、抜かれた。

あそこ握られて擦られて、誰かへの好きを自覚した。

でも、かえで先輩、その後、すごくいつも通りだった。



「なぁ、さとお。」


「どしたよ、せなさん。

手、ずっと止まってるけどあなた課題しないと。

ハゲ田にあてられてんでしょ。」


朝の、世界史の前の時間。

俺は歴史が得意なさとおこと佐藤ロイに昨日ハゲ田こと照田先生にあてられた課題を教えてもらっていた。


「…さとおは誰かに触られたことある?」


仕方なくシャーペンをもちながらたずねる。

さとおは中学が同じで、お母さんが日本人でお父さんがフランス人。だから、なんか、すごくかっこいい顔してるのに、なんだかおっとりしてて、すごく話しやすい。


「なにを?

あ、それアレクサンドロス大王ね。」


「あ、いや、その、自分の、ナニを…。


あ、うん。

あ、れ、くさ…ん、ど、ろ、す…」


「うーん。まぁ、ないことはないけど。


そっちはアリストテレスね。


というか、せなさんがそんなこと言うなんて珍しいね。」


「そんなもんか…。


アリストテレスって、哲学者?


珍しいって言われても…まぁ、いろいろとね。」


「俺は、まぁ、恋人いるから。ね。


まぁ、哲学者、みたいな感じかな。


せなさんにも春がきたのかな?」


「こいびと…あれ。さとお、恋人だれ?

春、というか、好意をよせられてる?ものすごく。」


「俺の恋人はね、年上。大学生。まぁ、今年からだから3つ上って言った方が正しいのかな。

…スッゴいアグレッシブな女の子だね。」


「年上か。俺もなんだけどさ、いや、うーん…。」


かえで先輩のことを細かく言っていいのかどうか迷っているとチャイムが鳴り響き、教室に先生が入ってきた。


「うわ、やば。課題終わってない!」


「ホラ、これ。」


先生をみてから慌てる俺と、ノートからなにやら文字の書いてあるふせんをはがしてこれ、答え。と言いながら俺のノートに張りつけるさとお。


「ありがたい!」


すがるような目でさとおを見ると、かっこいい顔を微笑ませて俺に小さく手を振りながら自席へと帰っていった。



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