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距離

第1章 距離3

Nside

何で最後に抱きしめたりするんだよ。そのアンタの優しさが俺を傷つけるんだよ。

翔ちゃんと別れた後、我慢していた涙が溢れていた。
違う、悪いのは翔ちゃんじゃない、俺だ。あんなことして自分が惨めな思いをすると分かってはずなのに・・・・

情けないのは俺のほうだよ。

このまま、部屋に帰って自分で体に残っている性欲を処理するのは嫌だ。それほど、情けないものはない。

そう思ったら元彼に電話をかけていた。とっくに別れていたが、よき相談相手、そしてよい先輩。
恋愛対象ではなくなったけど、俺の事を理解してくれる人。

太一「ニノなに?」

ニノ「今、どこにいますか?」

太一「お前、今何時だと思ってるんだよ、夜中2時だぞ。寝てんだよ。」

ニノ「家ですね、行きます」
と一方的に電話を切って、タクシーに飛び乗った。夜中なので
15分でマンションについた。
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まだ返していない合鍵で部屋へあがっていく。真っ暗な寝室、そこには先輩が寝ていた。

ゆっくりとベッドに入り、後ろから先輩に抱き着く。

太一「ニノ?お前、俺のこともうちょっと考えろよ(笑)」

ニノ「考えてますよ。ねえ、太一くん、しましょうよ」
そういいながら下半身を撫でる。

太一「ニノ、他の男の匂いをつけて、俺んとこに来るなよ」

ニノ「ダメ?」

太一「ニノ、ダメだよ。それ櫻井だろ。他の男の匂いがする奴とはできません。櫻井となんかあっただろ?」

なんで先輩は俺のことがわかるんだろう。なんで翔ちゃんと何かあったと分かるんだろう。

ニノ「俺・・・」

太一「今、俺としても問題解決しないよ。性欲を発散させるだけなら、いつでもするけどさ」

ニノ「お願い、今日だけはして欲しいよ・・・」

太一「ニノ、お前は本当に器用貧乏だな(笑)自分を大切にしないと心がボロボロになるよ」

そう言って俺のほうに向きを変えて、抱きしめて、頭を撫でてくれる。

この人はなんで欲しいものをくれるんだろう。そう思うとまた泣いてしまった。

太一「もう寝ろよ」

そのまま、先輩の腕の中で泣きながら眠ってしまった。

太一「お前は人の気持ち、場の雰囲気を読むのは得意だけど、自分のことは後回しだな。なんでノンケの櫻井を好きになるかな・・・」

頭の上で優しい言葉が聞こえてきた・・・

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