
恋空予報
第17章 幸せの形
よしっ。
あとは帰るだけ!
…なんだけど。
最終の電車も行っちゃったから
徒歩なわけで。
会社から出ながら
溜息をつく。
そんな俺の後を
誰かがつけてきた。
最初は気にしてなかったけど
俺がゆっくり歩くとゆっくり歩いて、
走ると同じように走って。
…なんか、気持ち悪い……。
そう思って、足早に歩いた。
バシャバシャと水溜まりの水が
跳ね返るのも気にしなかった。
スーツが汚れるなんて
考えている余裕がなかった。
「……」
無言で近付いてくる。
俺と後ろの奴の距離は
縮まってきて。
俺が思いっきり走ったら
後ろの奴と走ってきて。
「…っ」
ぱしっと手を掴まれた。
なんかやられる!って思って
目をぎゅっと瞑ったら
優しく抱き締められた。
……あれ?
この匂い、俺は知っている。
ゆっくり瞼を開くと、
そこには雅紀の顔。
「もー、逃げんなよ」
「び、びっくりしたあ…
なんだよぉ…声ぐらいかけろよ」
雅紀を抱き締めながら
そんなことを言ったら
雅紀はごめんねって笑った。
…ばっか。
