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プリンス×プリンセス

第76章 虚言の裏側

事故の知らせを受けた時も。

遺骨を弔った石碑の前でも。

姉上が涙していたのは、1度や2度じゃない。

1年…マックスの成長を見守りながら、その影にルーミーの姿を重ねていた。

その姉上の気持ちを、お前が知らないわけないだろ!?

ソファーに置いた手が、怒りで震える。

ディオはちらりとそれを見ると、ため息をついた。

「何だよ。何か言えよ!」

「元々、キサンタンガムという国を国際的に失脚させられるだけの証拠は揃えていた」

ああ、それがディオの言う『噛んだ』って部分なんだろ?

「首謀者も実行者も目撃者も物証も全て抑えた…だが」

そこで言葉を止めると、肘掛けで頬杖を付き、シニカルな笑みで俺を見上げて言った。

「計画が狂ったのは、子供が生まれたからだ」

………。

「は?」

何言ってるんだ?

赤ん坊が生まれたから計画を変えた?

じゃああの誘拐事件は…

最初から練られていたものではなかった、って事か!?

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