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プリンス×プリンセス

第73章 駆け引き

この方の声を聞くと、安心する。

安心、と言っても、安らげるのではないけれど。

自分が何をしなければならないのかを自覚させてくれる、そんな声。

「概ね予定通りです」

全てが思い通りではないけれど。

まだ調整がきく範囲内だわ。

嘘は語ってはいないと思う、のに…

『…そうか』

笑いを含むような声に戸惑ってしまう。

ディオチェスター様は何を感付いているのかしら?

「余暇を楽しまれている所を申し訳ありません」

『いや、構わない』

短い言葉の裏に、『それで何の話だ?』と聞かれている気がする。

1つ息を付くと、背筋をしゃんと伸ばす。

「最終確認ですが…本当にお連れしてもよろしいのですか?」

最終確認。

これでもう元には戻せなくなる。

その仕掛けを入念に準備していたのに、それが揺らいだのは…

マキシミリオン君を見てしまったから?

『その件は君に任せたと言った筈だ』

迷いを見せた私に、ディオチェスター様が発破をかけてくれる。

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