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プリンス×プリンセス

第73章 駆け引き

「あ…そうよね」

すっかり失念していた。

当初の予定通りに進めようとばかり考えていて、ユーノスの状態を忘れていたわ。

全身水浸しで、体温を奪われているのだから、寒いに決まっている。

…仕方がない。

「ではご自由に」

「え…?」

「着いてきたいのならばどうぞ」

従者は驚きで目を丸くする。

その後ろで、私達の成り行きを見ていたティアナ様が頭を下げていた。

着いてこない方が、貴女のためだと思ったのだけれど…

私の思惑通りに事が進むとは限らない。

だから…

ラグを広げていた辺りの木を指差し

「荷物はその木蔭にまとめておいて。家の者に取りに来させます」

従者がバスケットを移動させるのを見ながら、携帯電話でディオチェスター様達の担当の従者に伝達をした。

連絡を終えて…

皆から少しだけ距離をとると、通話を選んで押した。

2回呼び出し音が鳴り…

『俺だ。何かあったのか?』

ディオチェスター様の声に、思わず頬が緩んでしまう。

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