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プリンス×プリンセス

第73章 駆け引き

くすくす笑いながら聞くと、従者はバツの悪そうな表情になった。

本来なら、彼の対応は正しい。

旅行先だとはいえ、一国の皇太子妃を警護もなしで連れ出すなんてありえない話だわ。

でも…

「私が責任をもってお連れします…と言っても?」

重ねて申し出をすれば、侍女が従者の服を引っ張って合図を送っている。

従者は迷いの色を浮かべながら、言葉を選ぶ。

「ですが…」

うーん……かなり頑なだわ。

それだけフェールロコノの指導が優れているんでしょうけど…

さて。どうやって連れ出そうかしら。

別の方法にチェンジするべきか考えて…と

「ハックション!」

私の真横でユーノスが豪快なくしゃみをした!

その音にビックリして、考えが頭から抜けてしまう。

「ユーノス!?」

「ごめん!」

ユーノスは口元を押さえながら、私と従者を等分に見ると

「どうでもいいけど、さすがにちょっと寒いんだよね」

そう言って、ブルリと身震いをした。

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