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プリンス×プリンセス

第8章 分かりにくい優しさ

いや、お前を何て呼ぶかって話じゃないんだよ!?

姉上を『あれ』って呼ぶな、って言いたいだけなんだぞ!?

そんな俺を見て、ディオチェスター王子はニヤリと笑うと

「愛情が湧くのだろう?」

こいつ…っ!!

言い返せなくて睨み付けると、扉をノックする音がして

「お時間です。よろしいでしょうか?」

外から訊ねる声がした。

「そろそろだな」

ディオチェスター王子がそう言って、部屋から出ていこうと動き

「行くぞ。…やはり手を引こうか?」

「要りません!!」

早足でその後を追いかけると、ディオチェスター王子がまた喉の奥で笑った。

部屋を出て、記者会見の会場まで歩いていく。

指定された場所で出番を待ちながら、前に立つディオチェスター王子の背中を眺めた。

全く…からかってるのか?

ディオチェスター王子の笑い顔を思い出して、自分の考えを改めた。

いや…違うな。

バカにされてるんだ。

恨みを込めて、その背中を睨み付けていると

「その成りで会うのは2度目だな」

不意にディオチェスター王子が話しかけてきた。

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