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プリンス×プリンセス

第8章 分かりにくい優しさ

意気消沈していると、ディオチェスター王子がクッと喉の奥で笑った。

え!?

笑い声、初めて聞いた…。

驚いてディオチェスター王子を見れば、俺の視線に気付き、すぐに笑みを消した。

そしていつもの冷ややかな目付きに戻ると、姉上の様子を聞いてきた。

「あれの様子はどうだ?」

あれ…ね。

「眠っています」

そう呼ばれても、前ほどの苛立ちは感じなくなってきている。

だけど…

「いい加減、名前で呼んでもらえませんか?」

「うん?」

吊り眉をさらに引き上げて聞き返され、俺は眉根を寄せると

「いつまでも『あれ』呼ばわりでは、愛情も湧かないと思いますが」

そもそもが恋愛結婚じゃないんだから。

異国の地でやっていくには、そういう『目に見えない力』みたいなのに頼るしかないだろう?

すると、ディオチェスター王子は

「成る程な」

そう呟き、口元に手を当てて何かを考えていて…ふと顔を上げると

「では、俺の事はディオと呼べ」

「はい!?」

突然の提案に、目を見開き聞き返した。

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