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プリンス×プリンセス

第52章 信じる力

その温もりにほっと息をつくと、ふんわりとジュークの匂いが立ち上った。

フレグランスかしら?

清涼感があるのに、どこか甘い香りが漂い…

唐突に、あの夜を思い出してしまう。

ディオとテリオスの関係に気付いたあの夜。

ジュークの部屋で泣いてしまった私を、優しく慰めてくれた…

秘めやかな思い出の甘さに、胸が苦しくなる。

高鳴る胸を抑え込むように、襟を合わせる手に力を込めた。

「ジューク…ありがとうございます」

「はい?」

「テリオスを助けてくれて」

もしも…危険を予測していたのだとしても。

それでも、テリオスを守ってくれたのには間違いない。

「……当然の事です」

ためらいがちな低い声が、静かな廊下に染み込んでいく。

「そう…そうね。あなたにとってはそうなのかも」

職務を全うした…とか言うんでしょう?

あなたは優秀な執事だもの。

私の部屋に着いて、扉を開きながらジュークが言った。

「もしも…テリオス様とティアナ様が危機に陥ったとしたら、必ず貴女を助けます」

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