テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第52章 信じる力

「え」

パタン、と音をたてて扉が閉まる。

当然、部屋の中には二人だけで…

今のは…どういう意味?

「そうよね。あなたの職務ですものね」

深い意味など求めてはいけない。

だからこそ、聞き流すふりをして

「上着、ありがとうございました」

そう言ってジャケットを脱ごうとした。

「お手伝いします」

そう言って、ジュークが背後からジャケットを取ってくれる。

今までの温もりが失われて、少しだけ物悲しさを感じてしまう…と。

ジュークの腕が。

背後からふわりと伸びた両腕で、私をやんわりと閉じ込めた。

「ジューク…!?」

「例えどんなことが待ち受けていても…あなたは俺が守ります」

とくん、と胸が騒ぎ出す。

「それは…執事だから?」

「俺の…個人としての思いです」

仕事ではなく?

あの時のように…私個人を心配してくれるの…?

「信じても…いいですか…?」

「はい」

ジュークの声を聞いた途端、何かが崩れて…

涙が堰を切ったように溢れ流れた…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ