テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第52章 信じる力

「ティアナ様?」

……あ…

「大丈夫。何でもないわ」

にっこり微笑んで、自室へ向かって歩き出す。

この城の中で不安に思うことなんか、何も起こるはずがない。

もっと…もっと強くならなければ。

自分と…赤ちゃんを守れるくらい、強く。

「ティアナ様、お待ちください」

「え?」

後ろから声をかけられ、振り向こうとすると…

ファサッ…

両肩と背中に、柔らかな温もりが広がった。

見れば、ジュークが着ていたジャケットを私にかけてくれている所で…

「城内と言えど、廊下は冷えますから」

私を労るような優しい目に、胸の奥が甘く音を立てる。

「あ…ありがとう…」

ジュークは軽く会釈をして、私の前を歩き出す。

ベスト姿の彼の背中を追って歩くと、羽織ったジャケットがずり落ちそうになる。

袖を通してないから?

それとも、元々の肩幅が違いすぎるからかしら。

襟元をぎゅっと絞めるように押さえる…と

あったかい…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ