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プリンス×プリンセス

第50章 尊い人

頭を悩ませた結果、何も話せないでいると、グレイスの明るい声がした。

「あ。終わった様ですね」

とっさに頭を上げると、ディオがこっちへ歩み寄ってくるのが見える。

「具合はどうだ?」

俺の前に立ち、首を少し傾げて訊いてきた。

「え?はい、大丈夫です」

グレイスのことで頭が一杯で、つい無難な返事を返してしまう…と。

ディオが眉をしかめて、いかにも不機嫌な表情を浮かべて俺を睨んできた。

あ。しまった。

具合の悪いフリをしなきゃいけなかったんだ!!

慌てて口を開きかければ

「まずは奥方の心配ですか?お優しいこと」

グレイスが口元に手を当てて小さく笑う。

その声にディオがグレイスを見て…

「グレイスか?」

「はい。お久しぶりです」

そう言って、ドレスの裾をつまんで挨拶をした。

そんな彼女に、ディオは片方の口角を上げて笑みを浮かべると

「最近、大層な土産を貰った」

土産?

何の事だ?

理解できない俺の横で、グレイスは目を細くした。

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