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プリンス×プリンセス

第21章 底無し沼

「絞るのならスクイーザーがありますが?」

そう聞けば、口元に笑みを浮かべたまま首を振って

「テリオスはレモンの苦味が苦手で。こうやって搾ると苦くないの」

答えている間も手は動いたままだ。

「そうですか」

テリオス様のお好みに合うように、昔からこうやって作って差し上げたのだろうな。

本当にこの方達は仲が良い。

双子というものはこれほどまでにお互いを思いやっているものなのだろうか?

潰し終わったレモンを濾して果汁だけにすると、そこに冷やした煮汁を混ぜていく。

スプーンをくるくると回して混ぜているティアナ様を見て、小さな疑問が湧いた。

昔、母が作ってくれたものと、全く作り方が違う。

これがエストラーザでの作り方なんだろうか?

自分の思っているものと同じものを作っているように見えない。

小さく笑って、ティアナ様のなさる事を興味深く見てしまう。

ティアナ様は、作ったレモネードをグラスに少量を取り、味見をして頬を緩ませた。

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