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プリンス×プリンセス

第21章 底無し沼

「何でしょう?」

いつもと変わらないように、にこやかに答えると

「ボウルってどこにあるのかしら?」

レモンを手にしたまま、目だけで探すティアナ様に

「はい、お持ちします」

一礼して、ボウルを取りに別の棚へ向かった。

それにしても、レモネードを作るためにボウルを使うのか?

何に使うのか見当もつかない。

首を捻りながらボウルを手にティアナ様の所へ戻ると、ティアナ様はミルクパンを火にかけていた。

え?

作っているのは…レモネード、だよな?

「レモンの皮…煮るんですか?」

「ええ。風味が出て美味しいのよ」

さも当然のように言われて、それ以上の事が聞けなくなってしまった。

様子を見ていると、ある程度煮たところで火を止めた。

レモンの皮を取り出し、鍋に残った汁に砂糖を溶かしてから冷やし始める。

必要なのは皮ではなく煮汁だったようだ。

そしてボウルをとると、皮を剥いたレモンの実をその中で潰していった。

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