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プリンス×プリンセス

第83章 星空とレモネード

寝室からリビングに戻ると、ジュークも片付けが終わったようだった。

「ありがとうございます」

そうお礼を言われたけれど、ジュークの顔がまともに見られない。

涙を堪えていると、ふわりと柑橘系の香りが鼻をくすぐった。

「一息つきませんか?」

ジュークを見れば、両手にマグカップを持っている。

「それは…」

「ホットレモネードです。俺の母の作り方の、ですが」

どうぞと差し出されて、受け取る。

カップのじんわりとした温かさに、妙に癒されて…

「レモンの輪切りが入るのね」

「糖蜜漬けをお湯で割ったものです。あなたのものとは作り方が違いますが」

そっと口をつけると、優しい甘味が口に広がった。

「美味しい」

「良かった」

口元にうっすらと笑みを浮かべて言われ…

久し振りにジュークの笑い顔を見た気がする。

いつも怒ったり、険しい表情だったのに…

「ジューク。少しだけ外に出てもいい?」

「…何故ですか?」

「月が見たくなって」

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