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プリンス×プリンセス

第83章 星空とレモネード

遠く離れていても、月はそこにある。

同じ月を見ていると思えば、寂しくない。

そんな物語があった気がする。

するとジュークは顔を曇らせた。

「この辺りは暗い。バルコニーでも良ければ」

私の身を案じてくれるの?

この人は相変わらず優しい。

私は間違えてはなかった。

ジュークの提案通り、バルコニーに出て空を眺める。

だけど期待していた月はどこにも見当たらなかった。

「方向が違うのかも?」

「あ…でもいいわ。星がよく見えるもの」

レモネードを片手に星空鑑賞を始めると、ジュークが部屋の照明を消した。

「この方がよく見えるのでは?」

「本当……すごく綺麗」

周りが暗いからか、星の明るさが際立っている。

初めてここを訪れた夜も、星が綺麗だったはず。

それを美しいと鑑賞する余裕は、あの時には無かったけど…

レモネードを一口すする。

温かくて、甘くて、少しだけ酸っぱくて…優しい味。

「……ねぇ、ジューク」

「はい」

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