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0時の鐘が鳴る前に

第3章 キラキラ、ふわふわ

「今日、すっごく楽しかったです」

赤信号に立ち止まりながら、広末さんの横に並んで綺麗な顔を見上げる。

「俺も」
「…これで友達に何を聞かれても上手くごまかせます!」
「それは良かった」


この横断歩道を渡ったら、もうすぐ家に着いてしまう。


「…これからも、カフェ通っていいですか?」

やだな。こんなキラキラした時間が終わっちゃうなんて。

「当たり前。てか、彼女役名乗るなら来い」


青に変わった信号を見ながら、なるべくゆっくり足を進める。


わがままだなあ、私。イケメンの休日を独り占めさせてもらったのに、まだ足りないなんて。


「あ!」

そうだ、お礼に買ったストラップ!

カバンに潜むそれの存在を急に思い出して、寂しかった気分が一転、今度はバクバク心臓がうるさい。

…受け取って、くれるかな?


「…なに?」


突然声を発した私を不審そうに見ながら、彼は私に合わせてゆっくり歩いてくれる。

家はもう目の前だ。

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