テキストサイズ

0時の鐘が鳴る前に

第3章 キラキラ、ふわふわ

「すげーあったかい」

「…………っ//」


抱きしめられながら耳元で低く優しい声が響く。

しばらく言葉が出てこなくて、私たちは無言で夜空を見上げていた。

背中に伝わる広末さんの体温と鼓動に、私の体はさらに熱を上げて行く。


…男の人とこんなにくっつくの、初めてかも。だからこんなにドキドキするのかな……


「あっ今!流れ星!見ました!?」
「…おう」

沈黙を破った私の声を合図に、広末さんは腕を解いた。
離れていく温もりが少し名残惜しい。

「そろそろ、帰るか」
「…はい」

寂しいのは、今日がとっても楽しかったから。
私たちは、当たり前のように手を繋いで駅への道を歩く。

「広末さん…」

ヒールに足を取られ上手く歩けない私に歩幅を合わせてくれる彼は、
私の声にもちゃんと振り返って目を合わせてくれる。


……もっと嫌な人だったら、彼を利用することがこんなに心苦しくないのに。

「な、なんで彼氏役引き受けてくれたんですか?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ